濡れる魚

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お気に入りのルームランプが 仄かに部屋を照らし そこはまるで夜の海 僕を見つめる貴方の顔は 普段とは違う表情を見せる それは 淡く弱い光が描く 影のせいなのか それとも 貴方を熱く見つめる 僕の視線のせいなのか 髪を梳く手は優しくて ラインに沿って伝う指の動きは優雅で 蕩けるような口づけと 甘い甘い愛の言葉が 身体全身に浴びせられ 骨の髄まで犯される 想いの波が押し寄せるたびに 魚のように跳ね上がり 息をしようと口を開ければ 引き戻されて塞がれる 僕は激しく舞う魚 お願い僕を捕まえて 逃げないように束縛して 僕を深くまで溺れさせて 忘れることなどできないくらいに 僕の身体に印を刻んで 貴方と一つに混ざりたい
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