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『ユミ、そこまで僕のことを……。嬉しいよ』
タツミは振り向こうとしないユミの背中を撫でると、後ろから抱きしめた。
『どうか、こっちを向いて欲しい。君の顔が見たいんだ』
『嫌よ……。今、私の顔酷いもの』
『君はいつだって綺麗だよ。泣き顔だって素敵さ』
『そうやって他の女のヒトにも言ってるんでしょ』
『僕はそこまで器用じゃないよ、知っているだろう。もう一度言わせて欲しい、もう君を傷つけないから。どうか君の顔をよく見せて』
タツミの優しい声にユミは振り返った。それでもやはり愛しい彼には酷い顔を見せたくないようで顔を手で覆ったままだ。
『ユミ……』
また優しい声でタツミは愛しい彼女に囁いた。安心させるように、ユミの手の上に自分の手を添えた。
『君の顔が見たいんだ、ユミ』
タツミはまた優しく彼女の名前を呼んだ。
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