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「はぁ?何やってんだよ、さっさと戻って取ってこい。オレらは先に行ってるからよ」
「待っててくれないのかよ!」
なんて薄情な奴らだ、俺はお前らをそんな子に育てた覚えはないぞ!
「ただでさえ遅刻しそうなんだ、いちいち待つ訳ないだろ」
ごもっともですシオンさん。俺のせいで遅れて、更に俺の忘れ物だもんな。仕方ない、全力ダッシュで宿屋に戻る!
「じゃあ先に行っててくれ、また後でな!」
そう言い残して俺は来た道を全力で引き返す。チェーンをジャラジャラと鳴らしながらひたすらに走る。
くそぉ、ハーレム学園まで後少しだってのによりによって忘れ物かよ!確かサイフは枕元に置きっぱなしのはずだ。
ったく、なんでこうなるんだよぉ!
「くそおおおお!」
「きゃっ!」
あまりの無念さに雄叫びをあげて角を曲がった瞬間、俺は何かと衝突した。勢いを止める事が出来なかった俺は前へと何かを押し倒しながら転倒する。
ぶつかる直前に聞こえたのは女の子の悲鳴。これは、まさか運命の出会い!?
そんなドキドキな俺の唇に何か妙な感触が……。柔らかい……なんだこれは?
痛みに備えて目を閉じていた俺はゆっくりとその瞼を開ける。
すると、そこにはなんと女の子の顔が!この俺の顔の真ん前に可愛い女の子。これは運命の出会いに間違いないぜ!
でもこの唇の感覚は一体……?
「っ!」
ルナ・サファイア、たった今理解しました。俺、人生初のキスを堪能しております。
うんうん、キスってのはこういう感じなんだな。
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