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「…無防備、って言われない?」
「~~~っちょ、
な、なんで一之瀬く……が、」
なんで!?
なんでこの子が私の部屋に居て
そんでもってなんで私の身体を抱きしめてんの!?
「は?
アンタが俺の身体…離さなかったんだろ」
「な、……~はっ?」
はいィ~!?!?わ、私が!?
WHAT!?
あたふたしながらも手元に視線を移すと
私の手は……彼の制服のシャツを…
しっかりと握りしめていて。
「………。」
目の前の彼が嘘を言ってない可能性の方が一気に強くなり、
身体中の血の気がサアッ…っと、またたく間に引いていく。
「春が何か忙しそうで暇だったから、
代わりにアンタを起こしてやろうかと覗いてみたらさ、
急に…アンタが俺に抱きついてきて。
仕方ねえから、
キスの一つでもしてやろうかと思ったのに…何なんだよ」
「…き!?…っ」
キスッ~~!?!?!?
言われた瞬間、声が裏返ってしまった。
「…ハ。何、その反応…
そんなに喜ばなくたっていいじゃん」
よ、喜んでません!!
ちっとも、少しも、一ミリだって喜んでなんて無いから!!!
ぶんぶん、と顔を大きく振る私にクスクスと笑っている一之瀬君。
この子、一体…なんなんだ!!
『俺、迷惑にならないよう気をつけますから。
一か月だけここに居させてい下さい』
『俺、高嶺さんみたいな大人の素敵な女性と、
一度でいいから一緒に住んでみたかったんです』
って、昨夜言ってた…
あの、寂しげにゆれる瞳の愛くるしさは…何処行ったんじゃい!?
「ちょっと、待って!!
ねえ、なんか…一晩で性格変わってない?」
「……?。俺は初めからこんなんだけど。
まあ、昨日は置いて欲しくてちょっと気遣ったけどな」
そう言って、フッと微笑んで目を細めた。
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