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「そんなんより。
もしかしてさ、…アンタって、」
…戸惑ってしまう自分を落ち着けようとするのに、
彼の視線が私を射抜いてくるから…ちっとも落ち着けないまま彼を見上げる。
「満足してねぇの?」
「……へ?」
満足、……って、…
何に対して?
キョトンとしている私を、
吊り上がった眉の下にある鋭い切れ長の黒い瞳が真っ直ぐに見つめている。
「──決まってんじゃん」
「……え…、」
”何?”っと聞き返したと同時。
熱を持った私の頬に、
大きな手を当てて私の耳元に顔を寄せた。
「春との、…SEX」
「………っ!?」
…!!!
言いながら、フッと耳に息を吹きかけられて、
ビリっと思わず身体に電気が走った。
出てきた突拍子もない単語に
ドキドキと盛大に心臓までもが早鐘を打っていく。
「ね、どーなの?
春ってさ、見た目通りやっぱ強引にくんの?
それともアンタがリードすんの」
「…リ、リード?!」
「ね、どーなの」
「……っ」
聞かれた事のない話題にたじろぎながらも、
寝起きだからか思考回路は滅茶滅茶で。
なんだか期待に満ちた様な熱っぽい彼の視線を逸らしながらも、
春樹と初めて繋がった時の情景が…不意に……脳裏を掠めてしまった。
「……っ、…」
”たかちゃん、…”
「……」
春樹は…
春樹と初めて繋がった時、…思ったことがある。
春樹は、…
ゆっくりと私の身体を開いていくようで…一つ一つがなんか、、
丁寧だな…って、…そう思……
「──おい、大丈夫かよ」
「…っ、~~ひゃ!?」
至近距離で覗かれていた黒々と透き通った瞳。
あまりの驚きで、慌ててベッドの端にズザザザザ…っと退いた。
春樹との初めての夜の事を連想していた顔を見られていたかと思うと、
ボボボッ、と身体中が…熱くなる。
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