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「…やらしー」
「ええっ!?ち、…」
ちょっと、違う!!!
「一人妄想とか、しちゃってるしさ」
「…ち、ちがっ、
ちがうからっ!!!」
違くないけど、…違うからって否定しないと
ドンドン彼のペースに巻き込まれてしまうと思って、見苦しく抵抗してみる…
も、…そんな私の小さな抵抗は……虚しく。
気付けば、悪戯な顔した一之瀬君が
ベッドの端に寄り掛かっていた私を…壁へと追い込んでいた。
「………」
「な、…なに!?」
なになになんじゃ!!!
寝起きの纏まらない頭で、私はとにかく大混乱。
心臓が有り得ないほどの早さで波打っている。
な、なんか、近くない!?
近いから!!!
…近いですってば!!!!
「高嶺さん…」って呼んでた、
昨夜の彼の姿は…もはや完全に私の中で消え失せた。
そんな狼狽える私に、
呆れたように…ハッ、と一之瀬君は小さく笑って。
「…昨日のアンタの声、
結構可愛かったな~って。
もう一度聞きたくなったんだけど…」
言いながら、
どこか誇らしげに笑みを浮かべて私の顔を覗き込んできた。
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