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………。
「…ハ?」
俺が…彼女の部屋に足を踏み入れたと同時。
目の前の二人が抱きあっている姿が、…視界に飛び込んできた。
…何故か、照れたような笑みを浮かべて頬を染めている彼女と、
その傍にある友哉の背中。
余りの衝撃に手に持っていたものが滑り落ち、
カツンと床で情けない音を立てていた。
状況が全く、……読み込めないんだけど。
ってか、…
「ナニ、してんの?」
「「……」」
ピリッと張りつめる空気の中、俺の中でぐるぐると渦巻く…怒り。
ふざけてんなよ!?マジで。
……と思いつつも、
ここで取り乱すわけにもいかず。
何ともないフリして本心を隠すように、にっこりと…その二人に微笑んだ。
「とりあえず、…朝飯だから。
たかちゃん、早くしないと遅刻するよ。
友哉も朝練、行くんだろ」
「…あ、は、うん!」
「……。」
俺は彼女の部屋のドアを開け放したままで、リビングへと素早く戻る。
あんなガキに嫉妬…だなんて、
カッコ悪過ぎてあの二人に俺の今、歪んでいるだろう顔を…見せられるわけなかったから。
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