しずくの冷たさって安心するね。言えないけど。

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うがいしたあと、私たちは同じベッドに隣り合わせで寝転がった。 「しずく、いつ帰るって言ったっけ。」 「んー、日曜日。」 「えー、早くない?」 「しょうがないじゃん、学生なんだから。」 「同棲しようよ、小さい時みたいにさ。」 「馬鹿なこと言わないの、大学が違うんだから無理に決まってるじゃん。」 「そうだねー、俺県外でちゃったもんねー。来月は来てくれる?」 「うん、来月も来るから、我慢してよね。」 「うん、我慢するよ。…電気消そうか。」 パチン。暗転。光の残像が目の前で踊ってる。 おあずけを食らっているのは果たしてどちらなのだろう。 しずく、抱きしめていい? いいよ、ただ、みなみ君力強いから優しく抱きしめてよね。 なにそのヒロインみたいなセリフ。 ふふ、可愛いでしょ。ヒロインも同然の可愛さ。 はは、自分で言っちゃう、それ? あっつ、みなみ君、まだ湯冷めしてないじゃん。 しずくは湯冷めするの早すぎだよ。あ、でも夏になるとこの冷たさが心地よいんだよなぁ。 …変態。 みなみお兄ちゃんが変態なのは周知の事実だろ? 変態の兄、妹は不憫であります…。 あっ、ひどい、しずくちゃん。 ちゃん付けしないでよ、気持ち悪い。 いつから呼び捨てになったんだっけ。 結構前からだよ。 …眠くなってきた。 はいはい、寝よう。まだ二日あるから。 うん、構ってね。 構うよ。 おやすみ。 おやすみ。 おやすみ、世界。 こんな世界、もう二度と目覚めないで。 そう願って今日も寝て、また明日を迎えるんだ。
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