私、みなみ君の匂い好き。言わないけど。

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みなみ君と私は4歳の年の差があった。 その年の差は成長するたびに、もどかしく、どうしようもない溝を作っていった。 みなみ君は中学生に、高校生に、大学生に。 私が大学に入学した年に、みなみ君は大学を卒業した。 みなみ君は県外の大学院に進学し、私は県内の大学に進学した。…胸が裂けるかと思った。 私には、みなみ君しか、いないのに。 「はい、どうぞ。」 私は出来上がった料理を折りたたみ式のテーブルに持っていった。もう一回キッチンに戻ってお箸を二人分手にとった。 座布団を下に敷き、結い上げた髪を解きながら座った。 「おっ、ありがとう!」 「最近ちゃんと自炊しているの?」 「めんどくさいんだよね。しているっちゃしているよ。」 みなみ君は私から箸を受け取り、いただきます、と食べ始めた。 「まぁ、男性だし、いいとは思うけど。」 私は俯いて答えた。
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