第1章

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 それをノッソリとした動きで、孫正義似のおじさんは、増税パンチをかわします。すると孫正義似のおじさんのすぐ後ろを歩いていたホームレスにパンチが命中しました。 「ウギャー!」  ホームレスは断末魔を上げて倒れました。  首はあり得ない程曲り、腕や足が関節の無い箇所で折れ曲がり、血まみれになり、血の海を作ります。 「な、何をするんだ。罪もないホームレスを!」 「うるせえ! お前が避けるからだろ」 「殴られそうになったら避けるに決まっているだろう」  消費税マンは孫正義似のおじさんに無我夢中で殴りかかります。しかし、全く効き目がありません。  孫正義似のおじさんは気持ち悪そうに殴られています。 「おじさん。そいつは人殺しだよ。捕まえて」  一部始終を見ていた通行人が言いました。 「お、おう」  孫正義似のおじさんは、そう言うと、ヘロヘロなパンチを出します。  すると消費税マンにまぐれで当たりました。 「ウギャー!」  そう言うと消費税マンは倒れます。  そこに通行人が通報で駆けつけた警察官がやってきました。 「ホームレスを殺したのは、こいつか!」  警察官が、孫正義似のおじさんに尋ねます。 「そうだぞ」 「よし、逮捕だ」 「あなたが逮捕に協力してくださったのですか?」  警察官が、孫正義似のおじさんに聞きました。 「ま、まあ成り行きで」 「ご協力感謝します。よろしかったらお名前を教えてください」 「僕は、金藻照蔵と言います」  金藻照蔵さん、四十八歳は、月収一億二千万の大金持ちでした。 「では後ほど表彰させて頂きます」  そう言うと消費税マンは連行されて行きました。  消費税マンが逮捕されたと知るや否や、空き缶おじさんは、知り合いの政治家にして弁護士の妖獄おじさんに電話しました。そして、消費税マンを釈放するように頼みました。  妖獄おじさんは、消費税マンに利用価値があると思い警察に命令して釈放させました。 「ただいまー」  消費税マンが帰ってきました。 「お帰り。心配したじゃないか」  空き缶おじさんは言いました。 「サラリーマンから血税を集めていたのに、金藻照蔵に邪魔されたんだ」  空き缶おじさんは一人納得しました。 「金藻と言えば、超セレブの実業家じゃないか。お前のパンチが効くはずもない」 「どうしてですか? サラリーマンにはとても効いていたのに」 「お前のパンチは逆進性があるのだ」
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