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瞬ちゃんは大学では外国語科に通っている。
外国語関係の学科の生徒は、大半が一度は留学している。
「そっか、いつ行くの?」
「七月から三月まで」
「八ヶ月か。長いね」
しかし、たかが八ヶ月と、そう思えるくらいには長い付き合いをしてきている。
なので、孝兄のようなショックはなかった。
それでも、そのことを私に伝えても、瞬ちゃんの顔色が変わらなかった。
どうしたのと、聞く前に瞬ちゃんが言った。
「……明日香、俺たち別れよう」
刃物に喉を掻き切られたように、声が出なかった。
どうして人は変わっていくことを選ぶのだろう。
幸せな想いを壊してまで。
そうしてまで進んでいった道に、それ以上の幸せがあるのだろうか。
ずっと一緒にいられるだけで、よかったのに。
たったそれだけがどうして、こんなにも難しいのだろう。
私だけ、時が止まっている。
十三歳の冬のあの日から。
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