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「じゃあ、明日香食べちゃえ」
「いいの!?」
「おい、食べたら許さねーぞ!」
そこだけ地獄耳。
「働かざる者食うべからず」孝兄がいなすと、
「千秋、俺食器出す」と瞬ちゃんはソファーから立ち上がった。現金なやつめ。
「孝兄、おかえり」
エプロン姿の千秋ちゃんが、扉から顔だけをひょっこり覗かせた。
「ただいま。あー、腹減った」
「はいはい、手洗って」
仕事で少し疲れている様子の孝兄を、洗面所に押し込んだ。
これでやっと面子が揃った。
四人がけのダイニングテーブルにそれぞれ腰かけた。
時刻は午後七時を回っていた。
私と千秋ちゃんは向かい合わせに座って、どんどん野菜やお肉を焼いていく。
こういうことは、料理が出来る私たち女子の担当。
男たちはひたすら食べることばっかりに集中する。
なので絶対洗い物はやらせてやる。
「明日香、肉ばっか食わないで野菜も食えよ?」
「瞬ちゃんに言われたくないんですけどー!」
隣に座る瞬ちゃんに茶化される。
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