第一章

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自分の過去と今回起きた事件を重ねてしまい過去のことを思い出してしまった。 もう涙は出ない。昔の自分だったら思い出すだけで涙が流れ出していたが、時間はその時の記憶を薄れさせていく。 ニュースが終盤の占いへと入る頃時計を見ると家を出て高校に足を運ぶ時間になろうとしていた。 学生カバンを肩に掛け、耳にヘッドフォンを当てる、音楽は最近音楽サイトに登録をしてそこで配信されている楽曲をランダムにかけている。 学校までは徒歩と電車で三十分ほどで着く、その間歩く時間にいろいろ考えてしまうので少年は思考の末音楽を頭に流して自分が考えることをやめるということに行き着いた。 延々と思考がループするのはもう勘弁だ、そう思い別のことに意識を持っていくようにスマホの定番と言われているパズルゲームに目を走らせる。これが少年、いや秋野 京の日常だった。 自分の意識をゲームに集中させ何も考えない、このようなことを始めたきっかけ、彼の世界が色を失ったのは一年と二十日前、両親と大好きだった近所のお姉さんが我が家でスキル使いに殺されてからだ、京は世界を恨んでいる、強者と弱者を作り上げたこの世界を。弱者で生まれた自分を。 しかし今日、この雲の多いどんよりとしたこの日、彼の世界は色付き始めた。 太陽のような彼女が世界をひだまりの色に染めたのは唐突な出会いが始まりだった。
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