第一章

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高二-Hが京の所属しているクラスだ。 ドアを開けて教室に入る、一時限目の始まる二十分前に京は学校に付き、自分の机の側面に鞄を掛け、耳にかけていたヘッドフォンを外し鞄にしまう。(学校では電子機器は使用禁止の校則がある) そしてやっと教室の音が耳に入り込んでくる部活の朝練から上がり友達と話している声、数人で集まって他愛のない話をしている声、京はあまり声というものが好きではない、歌、などの演奏と一緒に流れてくるものは別に構わないのだが、この喋り声が好きじゃない、昔は家に溢れていた笑い声が聞こえなくなってから、声というものを毛嫌いしているところがある。 そのことを教室の生徒は認知を始めているのか、誰も話しかけない。こういうとき自分の世界に入れるために小説を用意している、しているのだが。 「ん、あれ…?」 鞄の本が入っているハズのところには何も入っていない。 そして昨日寝る前も読んでいて自分で寝る前に畳の上に置いたのを忘れていた。いつも入れているので他にあるということを失念していた、うーむやってしまった。静けさを求め第二の落ち着く場所へ京は向かった。 そこは今日のような曇天にはとてもじゃないがいいところではないが、京はここ以上に静かな場所を知らない、階段を上がり立ち入り禁止とふだが貼ってあるのを無視して扉を開ける、外の空気が心地良い。 ここは屋上、基本静かで立ち入り禁止という立て札のおかげなのか誰もこない、自然な風の音がむしろ心地いいくらいだ。            
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