ちいさなぼくら

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小さな頃、家には今よりもっと、家族がいた。 お母さんが1人と、お父さんが1人。 あと、おばあちゃん。 それから、兄妹。 俺を含めて4人。 お母さんはとにかくお酒を呑むことと、人間が大好きらしい。 会話のない人生程つまらないことはないと言う。 お父さんはいたけど、よく知らない。 と、いうのも。 俺とあーちゃんが生まれてからすぐに亡くなっているからで、 どういう人だったの? と、お母さんに訊いたら哀しい顔をされた。 だから、それ以上訊けなかった。 会話が好きなお母さんが会話をしたくないなんて、 きっとよっぽどのことだ。 おばあちゃんは、優しいけど厳しい人だった。 大きくなってわかったけど、お母さんは仕事とお酒と会話で忙しくて、 子育てが出来なかったらしい。
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