あらすじ

2/2
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私――野々山 若菜、23歳、社会人1年目。 いつもの様にSNSをチェックしていると、中学の頃に片想いをしていたタケト先輩の名前を見つけた。 そのステータスは『◯◯医療大学 在学中』となっている。 懐かしさに誘われた私は、10年前の記憶を遡る。 中学1年。 階段ですれ違ったその瞬間、恋に落ちた。 先輩が所属する野球部の朝練を、ベランダからこっそりと眺めることが、私の日課となった。 ある日『即席陸上部』に招集されると、そこには先輩の姿があった。 しかし話しかけることはできず、更には先輩の前で大失態を犯し、競技にも負けてしまう。 ようやく先輩とメールのやり取りを始めるが、几帳面な先輩は必ず件名の『Re:』を消した。 想いが一方通行であることを証明するかのようだった。 中学2年。 部活動が忙しくなり、遠かった先輩との距離は更に広がる。 前年に引き続き『即席駅伝部』に選ばれ、迎えた競技中、ゴール手前で先輩が私にエールを送ってくれた。 結果、私は区間3位という奇跡的な記録を収めた。 しかし想いは伝えられないまま先輩は卒業し、初恋は終わりを迎えないまま、時間と共に散っていった。 先輩をSNSで見つけてから数週間後、私は衝撃の事実を知る。 先輩はその後、急性骨髄性白血病を患い、闘病をしていた。 ほぼ完治した今は、元気に医療大に通っているという。 私は初恋と過去の自分を清算するために、先輩にメッセージを送る。 ようやく初恋を終わらせることが出来た私は、帰宅した彼氏の胸に飛び込み、『今を一生懸命生きること』を誓うのだった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!