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あの後、あー、そういや体茹だってボキボキなってたしなーとか、そういや痛み無くなってるなーとか、匠も腰抜かすわコレとか考えながら、姿見に映った最早原形の無い自分を眺めていた俺は、ある事にふと気付く。
あれ?よく見たら結構イケメンじゃね?
目付きは悪いが、なかなかのイケメンに思えた俺は、姿見で様々な角度から自分の顔を観察する。
終いにはクラウスさんそっちのけで、ポーズなんか取ったりしてフムフムとか言い出す始末だった訳だが、気付いたらクラウスさんも俺に合わせて後ろでポーズとってた。
ほんと残念なインテリだと思う。
それから暫くして、再度握手を交わしたクラウスさんに連れられて部屋を出た俺は、等間隔に扉と窓が向かい合わせになった廊下を何事もなかったかのように進んでいる。
その廊下は窓から見える景色からして、二階か三階らしい。
廊下をそのまま進むと奥には両開きの扉があり、扉に近付くにつれてガヤガヤと喧騒とした人が集まっている気配が聞こえてくる。
その喧騒さ加減から、少し不安になる俺。
そんな俺を察してくれたのか、クラウスさんは扉の前で一度こちらに振り向き、笑顔を見せる。それは表情で大丈夫だと伝えているみたいだった。
笑顔のまま縦に取り付けられた扉の取っ手に手を掛けるクラウスさんが、扉をゆっくりと引くと扉の向こうから騒がしさが一気に溢れだす。
その音量に少し怯む俺だったが、笑顔で俺を待っていてくれるクラウスさんを、これ以上待たせるのも悪いので意を決して扉を抜ける。
「おぉ…」
扉を通り抜けると、そこは吹き抜けとなった大きなロビーで、俺はそのロビーの二階部分に出たらしい。俺の眼下に広がるのは、軽く見ても100人規模の喧騒とする人混みと、それを余裕を残して収容する広さで、思わず驚きの声が漏れる。
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