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声を掛けられた人物がクラウスさんと何かを話してる最中、俺は棒立ちで二人を観察中。
クラウスさんに声を掛けられたのは、切れ長の目に黒い瞳で高ーい鼻。おっきい口からは大きい八重歯がチラッと見える。
黒い豹のような人で、地肌は見えないけど雰囲気はセクシーで、まさに女豹って感じ。
お察し、獣人さんですねー。
そんな女豹さんは、タイトな土色のスーツにスカートで、耳には輪っかのピアスが幾つか。
「ユウヤ」
暫くして二人を観察中だった俺に、クラウスさんが振り向いてジェスチャー付きで何か言ってる。
えーっと、なになに?
何か物を運ぶ振りをして…額を腕で拭って、ふぅ…とか言いながら一段落な表情…その後に水平に円を書いて、握った何かで円の中から何かを口に運ぶ振りをして…めっちゃ旨そうな表情…
なるほど、働かざる者食うべからずね。
うん、いちいちジェスチャーが大袈裟と言うか、真に迫ってると言うか…
あ、女豹さんが肩で笑ってらっしゃる…
いや、勘弁して!!こっちまで伝染るから!!
笑ったら負けみたいな変な雰囲気のせいで、笑いそうになるのを必死で堪えつつ、駄目インテリことクラウスさんのまだ続くジェスチャーを解読していく俺。
えーっと、なになに?
服を脱ぐ振りの後に、腕をウェーブさせたまま小回りに一周して、その中に入る仕草…
あ、地面に座った…めっちゃ気持ち良さそうな表情でタハーッとか言っちゃってる…
…風呂か?
で、体をタオルで拭くような…って、その動作必要!?
そとあと服をいそいそと着たと思ったら、こう…ベッドかな?ベッドに…
地面にゆっくりした動作で寝るクラウスさん…
めっちゃ気持ち良さそうな、ぐっすり顔で地面に寝るクラウスさん…
いつの間にか作業してた人みんな、クラウスさんを見て固まってる。
そして訪れる静寂…
あ、女豹さんがブッってなってる!!
あー駄目だ伝染った、あーもう無理!!
「ぶっ!!…ぐっ…ぶっ…はははははっ!!」
あーもう、この人大好きですわ。
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