おいでませ異世界。

18/19
前へ
/66ページ
次へ
声を掛けられた人物がクラウスさんと何かを話してる最中、俺は棒立ちで二人を観察中。 クラウスさんに声を掛けられたのは、切れ長の目に黒い瞳で高ーい鼻。おっきい口からは大きい八重歯がチラッと見える。 黒い豹のような人で、地肌は見えないけど雰囲気はセクシーで、まさに女豹って感じ。 お察し、獣人さんですねー。 そんな女豹さんは、タイトな土色のスーツにスカートで、耳には輪っかのピアスが幾つか。 「ユウヤ」 暫くして二人を観察中だった俺に、クラウスさんが振り向いてジェスチャー付きで何か言ってる。 えーっと、なになに? 何か物を運ぶ振りをして…額を腕で拭って、ふぅ…とか言いながら一段落な表情…その後に水平に円を書いて、握った何かで円の中から何かを口に運ぶ振りをして…めっちゃ旨そうな表情… なるほど、働かざる者食うべからずね。 うん、いちいちジェスチャーが大袈裟と言うか、真に迫ってると言うか… あ、女豹さんが肩で笑ってらっしゃる… いや、勘弁して!!こっちまで伝染るから!! 笑ったら負けみたいな変な雰囲気のせいで、笑いそうになるのを必死で堪えつつ、駄目インテリことクラウスさんのまだ続くジェスチャーを解読していく俺。 えーっと、なになに? 服を脱ぐ振りの後に、腕をウェーブさせたまま小回りに一周して、その中に入る仕草… あ、地面に座った…めっちゃ気持ち良さそうな表情でタハーッとか言っちゃってる… …風呂か? で、体をタオルで拭くような…って、その動作必要!? そとあと服をいそいそと着たと思ったら、こう…ベッドかな?ベッドに… 地面にゆっくりした動作で寝るクラウスさん… めっちゃ気持ち良さそうな、ぐっすり顔で地面に寝るクラウスさん… いつの間にか作業してた人みんな、クラウスさんを見て固まってる。 そして訪れる静寂… あ、女豹さんがブッってなってる!! あー駄目だ伝染った、あーもう無理!! 「ぶっ!!…ぐっ…ぶっ…はははははっ!!」 あーもう、この人大好きですわ。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

330人が本棚に入れています
本棚に追加