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「………。」
血を飲み終えると、アリスはクロウの首筋の傷を丹念に舐め始めた。
これは吸血鬼のみにある特殊な能力……主として契約した者にのみ、口から出る唾液によって、傷を治癒させる事が出来るのだ。
「あ、いや、もう、大丈夫です。」
舐めるのに必死になり過ぎると、こうやってクロウから止められる。
クロウはアリスを再びベッドに寝かせると、シーツをかけてやった。
「明日、また〝移動〟しますので、今日はもう休んで下さい。」
言って頭を優しく撫でてくれるクロウの手の温もりを感じながら、アリスは静かに眠りについた。
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