闇夜は月明かりに照らされて

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その瞬間だった。 突然聞こえてきた〝ガラスの割れる音〟に、クロウは跳ね起きた。 いや、割れる音だけではない。 「闇の魔力の気配……この感じ、かなりの力を持つ魔王か。」 薄々感づいていた気配だったが、まさか夜襲で来るとは思っても見なかった。 「アリス!」 「……。」 クロウが叫んだ時には、すでにさっき脱いだワンピースも、黒いジャケットも羽織っていた。 「……お早い事で。」 苦笑しながら、自分も黒いコートを着て……酒場では置いて出た、黒い革表紙の厚い本を持って部屋を出た。
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