とある小さな村の酒場にて

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アリスが覚えているかぎり、この優男はどんな月でも愛でていた。 今日は半月ですね、今日は満月ですね、そして今は、三日月ですね……。 何故この人はそこまで月を愛するのか……アリスはその事をずっと疑問に思うと同時に、少し嫉妬していた。 私だけを見ていてほしい……そんな言葉も、この優男との契約の時に無くしてしまったのだが。 「俺と来るか?」 今でも思い出す、あの衝撃的な出会いを。 当時、魔界で歌奴隷に成り下げられていた自分を救ってくれた、最強の魔王「アルテミスリード」。 ……昔は、ちょっとだけ怖かった。
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