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「わかった。ケンちゃんが濡れる前に目的地へ行こう。……どこへ行くの?」 「水族館とか、好き? 色々遊べる複合施設の中に水族館があって、雨関係なく楽しめると思うんだけど、……そこでいいかな?」 「うん。いいよ。水族館、好きです」 「まだ敬語混じってる。ラインでも言ったけどさ、使わなくていいよ。もっと打ち解けたい」 「うん。気をつけるね」 「ありがとう。嬉しい!」 ほほえみながら頷くと、私は前を向いた。  雨が降っていても、交差点を行く人の波は途絶えない。  ケンちゃんは人にぶつからないようにさり気なく歩く方向を誘導してくれたり、歩幅も私に合わせてくれた。 「……でさ、昨日夜はラインのあと、何してた?」 「えっ?!」  胸の奥がとんと跳ねあがり、声がうわずった。  思わず聞き返したあと、私より背の高いケンちゃんを見上げた。 「深夜番組で面白いのやっててさー、和花ちゃんも観てたのかなって。……俺、そんなにおかしな質問した?」  私の反応が過剰だったらしく、ケンちゃんは驚いていた。 「……ううん。おかしくないよ。でも、ごめんね。私はあの後直ぐに寝ちゃったからテレビ観てないの」 「そうなんだ。よく眠れた? 俺は……実は緊張しちゃって寝付けなかったんだよね。あ、興奮かな?!」
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