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「じゃん! 準備できた! ずばり……王様ゲーーーム!」
高校からの親友『森乃 美樹』はほろ酔いで、にっこにこ笑顔で言った。
今日は彼女の誕生日。私、西森 和花は、有給を使って仕事を休み、朝から料理を作って彼女を祝っていた。
「王様ゲーム? ……三人で?」
もう一人の親友『楠瀬 雅』は目を細め、渋い顔をしている。
彼女たちは私の両隣に住んでいる同じアパートの住人。雅は美樹の大学時代からの友人で、彼女が一昨年に引っ越してきてからは、よく三人で出かけて遊ぶようになった。
お酒も食事も進み、美樹の喜ぶ姿は見れたし、サプライズが成功して良かったなぁ~と、しみじみ感じていたときに、当の本人から意外なゲームのリクエストをされて驚いた。
赤ら顔で上機嫌の美樹は手を、高々と上げた。
「ちなみに王様は私でーす! はいっ、二人とも残りのくじを引きたまえ。どーぞ!」
「誕生日の美樹ちゃん。何かしたいんでしょ。付き合ってあげよう」
私は彼女に近づくと、くじをじっと見つめた。
「さあ、選んで。あっ、引くのは一斉にだからね? いいって言うまで引っ張らないで?」
くじ引きは美樹の握った両手から出ている二つの紐をそれぞれが引くという、簡単なものだった。
「じゃ、私これにするね」
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