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「ケンちゃんは、人の意見を素直に聞けるのは私の優しさだって前に言ったよね。自分を押し殺すことができて、周りを思いやれるのは私の魅力だって。それね、違うの。私はそんないい子なんかじゃない。ただ、衝突が嫌で争うことから避けて逃げていただけなの。人と向き合うのが怖かっただけ」
「……誰だって、嫌なことからは逃げる。傷つくことから逃げるのは卑怯とは思わない。正当な自己防衛だ。和花ちゃんのそれは当たり前だよ。別に恥じることも、自己嫌悪になる必要もない」
私はケンちゃんの言葉に薄く笑うと、小さく首を左右に振った。
「私はね、その当たり前が許せなかった。変わりたいの。もっと……」
「和花ちゃんは変わる必要ない。今のままでも十分魅力的で可愛いよ。そんなに頑張らないで、無理しなくていい。今の和花ちゃんを俺は受け止められる。大事にできる。一生愛せる!」
ケンちゃんは私の手を包み込むように両手で握った。
「絶対幸せにする。約束する。和花ちゃんを日本一、いや、世界一、宇宙一、幸せにするよ! 俺の全身全霊をかけて、誓う……!!」
真っすぐな言葉はしっかりと私の胸に届いた。
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