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 目をぱちぱちさせながら私はケンちゃんを見た。 「初めての美酒に酔いしれて、本質を見抜けてなかったんだな……。なんていうか、ワインで言うと赤を白と思い込んで旨いと飲んで自慢していたというか……」 「どういうこと……?」  私が首を傾げるとケンちゃんはまたふっと力なく笑った。 「赤ブドウなのか、白ブドウなのか。見分けがつかない馬鹿野郎ってこと。ごめんね、和花ちゃん。赤を白と押し付けて……」 「……よく、わからないけど、私は大丈夫。だからお願いそんなに落ち込まないで? ケンちゃんは十分今のままでも魅力的だから」 「はは。俺が和花ちゃんに言ったこと、そのまま言われてる」  私はなんて言ったらいいのか分からなくなって言葉を止めた。 「……戻ろうか。もう……分かったから。悔しいけどね」 「ケンちゃん」  私はケンちゃんの前で姿勢を正すと、もう一度深く頭を下げた。 「……ありがとうございました」  心を込めてケンちゃんに伝えた。 「…最後に…。握手してもらっていい?」  ケンちゃんはいつものようににっと笑って、手を差し出してきた。
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