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 女性がにこりと微笑み、ゆっくり花束を受け取ろうとした次の瞬間、  曲が盛り上がる二回目のサビに入り、二人が同時に踊り始めた。 「ええっ、どういうこと? 違うの!?」  予想を覆させられ、さらに私は驚き、興奮した。  二人が仲良く並んで楽しそうに踊る。その間にも踊る人が増えていく。ヘルメットをかぶった工事現場の人、近くのお店のウェイトレス、コンビニの定員さん、学生服の女の子。職種も年齢も様々だった。  Cメロに入ると、みんなが手を挙げて手拍子をし始めた。  私もつられて一緒に手拍子をする。  この後どうなるんだろう?  自分たちがしたフラッシュモブと違う演出に私はワクワクして楽しんでいた。  ひと時手拍子をした後、広場で踊っていた人がある個所を指し示した。  その先を見ると、 「……え?」  私は手拍子を止めて、目を大きく見開いて固まった。  広場の側の国道に青い車体のフォルクスワーゲン、ゴルフがハザードランプを点けて止まっていた。そして、運転席から降りてきたのは…… 「……ケンちゃん? それにリヅ!?」
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