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リヅは顔だけを出して大人しくバスケットに収まっていた。それを手に下げ、大きな花束を持っているのはケンちゃん。
手拍子がどんどん大きくなっていく。みんながケンちゃんのために並び道を作る。
英語の歌詞の独奏が流れる直前、手拍子がぴたっと止まった。
ケンちゃんは私たちの元へゆっくり近づいてくる。
踊っていた人もそのケンちゃんを先頭にゆっくり歩いて来る。
わけが分からなかった。
でも、私の胸は、何かが起こりそうな予感にドキドキと高鳴り続ける。
私の正面に立つとケンちゃんは、にこっといつもの笑顔を浮かべた。
どうリアクションを取ったらいいのかなと困って、私は怜司の顔を覗いた。
「瀬名さん!」
曲が最後のサビに入る直前、ケンちゃんは怜司の名前を呼んだ。そして、
その花束を怜司に向かって投げつけた。
「えっ!?」
曲がサビに入った。
花束を受け取った怜司は、急に私の前に立ち、ステップを華麗に踏み、踊り始めた。
まさかの展開に私が息を飲む。だけど、サプライズはそれだけじゃなかった。
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