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「だけどまあ、そもそもケンが知り合いのつてで俺の店に来たのは偶然だったけど。それでケンとは仲良くなれて、……今日のサプライズをしようって思いついたんだ」
「そうだったんだね」
きっかけは偶然でも、ここまでの大かがりはそう簡単にはできない。
もう、感激と感謝以外の言葉が浮かばない。
「……そろそろ俺たちも会場へ行こうか」
「うん」
「その前に、リヅをもう一度、横田の所に預けに行かないといけないけど」
「あ、そっか、そうだったね」
私は再びずっと抱っこしたままのリヅを見た。
リヅの黄色い丸い瞳と目が合う。
「リヅくん、またしばらく離れちゃうけどごめんね」
リヅはニャーと鳴くと、さっきまで大人しくしていたのが嘘のように動き出し、私の肩によじ登る。
「リヅ……!?」
リヅを再び抱き直そうとしたとき、先に怜司がリヅをがしっと掴んで私から離した。
リヅは脇を抱っこされて、だらんと足をたらしたしままの体制で私と向き合う。
「……あれ? リヅ、首に何をつけているの?」
私は改めてリヅを見た。そして……おめかししていた赤いリボンの首元に何か光る物を発見した。
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