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「ようやく気付いた?」
「え?」
私はリヅを抱っこしたままの怜司の顔を見た。
「自分で確認してみて」
言われた通り、私はすぐにリヅの首のリボンを確認した。
「……これって……!」
「和花への誕生日プレゼント」
「怜司……!」
私は思わず、リヅごと怜司に抱き着いた。
リヅの赤いリボンについて居たのはきらりと光るダイヤの指輪だった。
「嬉しい。ありがとう! 一生大事にする!! ……つけてみてもいい?」
「もちろん」
私はリヅの赤いリボンを外すと、指輪を自分の薬指にはめた。手をかざし、うっとりと眺める。
「綺麗……」
一度は離れてしまった私と怜司を再び結んだのは、この小さな黒猫リヅだった。
赤いリボンは運命の糸のようで、輝く指輪は限りなく永遠に輝く星々に負けない光を放っていた。
「和花」
怜司は私の名前を呼ぶと、ぎゅっと優しく抱きしめてくれた。
そして、
「愛している」
ホワイトツリーの側で、リヅに見つめられながら私たちは、今度は一生添い遂げる約束のキスをした。
柱時計が荘厳な鐘の音を八回鳴らす。
今、ここから私たちの時が始まる。
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