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「か、かんぱ……い」
私と雅は美樹に気後れしてしまい声が小さくなったけれど、美樹に続いてビールを飲んだ。
猛進かぁ……。私に、出来るかな?
美樹は最近、好きな彼と付き合いはじめて、うまくいっている。彼女が幸せそうで良かったと思うと同時に少し、羨ましかった。
私も好きな人と、幸せになりたい……。どうすればいいのかな。
「次の恋のバトンは……和花!」
一人物思いに耽っていると、急に名前を呼ばれた。
顔を上げると美樹と目が合った。すると彼女は手を顔の高さまで上げた。まねをするように手を上げると、パンっとハイタッチしてきた。
「……恋のバトン? 私?」
思わずハイタッチしておきながら、聞きかえす。美樹は変わらずにこにこ笑うと、私の手のひらのチャームを指差した。
「次、和花が恋の走者! ……幸せを掴んで繋いでね」
「恋に走って幸せを掴む……か。和花頑張ってー応援してる」
雅も私にやさしくほほえんでいる。
私は恋愛に対して積極的な方じゃない。臆病でいつも相手や周りに遠慮して合わせしまう。……うまくいかない。
「……二人とも、ありがとう」
だけど、変わりたい。
どうすればいいか方法はまだ分からないけど、恋のバトンは受け取ってしまった。まずは逃げずに前に向かって進もう。
私は『指輪のチャーム』をぎゅっと握った。
根拠はない。けれど、胸の奥で勇気が湧いてくるのを感じた。
「西森 和花、幸せを掴むため……頑張って走ります!」
二人の想いに答えたい。私は、笑顔で敬礼をした。
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