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再び左側にあった扉の前に立つ。
一件何処にでもある茶色い扉ではあるが、ドアノブを見て、驚きから目を見張った。
この扉はノブに鍵穴があるタイプではなく、ドアノブの下に鍵穴があった。
それだけならまだ一般的な物だが、鍵穴の "数" が普通ではなかった。
ずらり──並ぶ穴。その数は縦に10個。
穴の左隣には『1』『2』と、数字が10まで書かれている。
これを見て一瞬で、ピンと閃くものがあった。雷が全身に駆け巡るような衝撃だった。
───鍵。首輪の鍵の数だ!
疑いもせず確信を持ち、慌ててポケットから鍵を取り出す。
宇吹さんもこれを見て、同じことを思ったらしく、お互い顔を見合わせて微笑んだ。
首輪の鍵は、やっぱり必要だったんだ!
持っててよかった!
俺は何となく持っていただけだが、宇吹さんは持っていた方がいいと言っていた。
──さすが宇吹さん!
逸る気持ちを抑えながら、高鳴る心で鍵をひとつ握る。
手にしたナンバーは『3』
その鍵を、上から3つ目の穴に挿す。
カシャンと鍵が回り、ロックが開く感触がした。
思わず笑みが零れ、次々と鍵を穴に挿していく。
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