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「うっせーんだよ、お前!」
わーわー喚く坊主頭の男に怒鳴る女。
…この人はめちゃくちゃギャルだなぁ。
金髪の巻き髪に、目がパッチリしたメイク。
普段だったらこの人とも、関わりを避けてるな…。
しかしギャルの女の怒鳴りも、坊主頭の男には届いておらず。
しまいにはうろうろと歩き出す。
「こんなとこに連れて来た奴、殺してやる!」
不良はこの部屋の扉に気付き、向かって行く。
力任せに扉を開けようとしたが、扉が開かない。
虚しく「ガチャガチャ」と音が鳴るだけだ。
「─っんだよ!」
不良が扉を蹴る。鉄製の扉は少しへこんだ。
扉が開かなかった事実に、この部屋の空気がどんよりと沈む。
「…何なの、ここ…」
「ヤダよぉ、帰りたい…」
「早く僕をここから出しなさーい」
恐怖と不安が押し寄せる。
ついには、小柄な女の子が泣き出してしまった。
「ピーピー泣いてんじゃねーぞ!」
「俺を出してくれー!」
「うるさいって言ってんのが分かんないの!?」
「うっ、うぅ…」
収拾がつかない状況。
どうしたらいいのかも分からず、俺は頭を掻く。
第一俺も、何が何だか分かっていないんだ。
だから冷静になれよなんて、言えなかった。
「とりあえず皆、落ち着けよ」
しかしひとりの男の発言で、この場の喧騒がピタリと収まる。
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