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「ここに連れて来られた経緯はとりあえず置いといて。俺達は現に閉じ込められている。皆で協力して、ここから出ようぜ」
三津谷の言葉を聞き、塩田が首をこくこくと頷かせた。
こう言う時、リーダーシップをとってくれる奴がいるのは助かる。
俺はこう言うのは苦手だ。指示さえ出してくれりゃー従うよ、的なタイプ。
だから、この場に三津谷がいてくれたのは有り難い。
「…やっぱりこれって誘拐なのかな?」
「集団誘拐ってことか?」
「何の為に…?」
疑問だけが広がる。
「って言うかさ!今って何時な訳?記憶がなくなってから、どのくらい経ってる訳?」
暗くなり掛けていた空気を秋山が裂く。
それを聞いて皆もハッとする。それもそうだと、ケータイを取り出そうとした。
─あれ?
制服のズボンのポケットの中を漁る。確かにケータイを入れてあったハズ何だけどな……。
しかし皆の様子も何処かおかしい。
「…腕時計がない」
悲愴な表情をして、小沢が呟いた。
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