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「本当にしていたのかね?」
手戸が怪訝そうに聞く。
「してたよ!」
「彼女のお気に入りの時計だったから、毎日着けていました」
大声を出す小沢を宥めながら、内藤がフォローする。
「…私も腕時計をしていたけどないです。それにケータイも…」
宇吹さんの後、三津谷がふぅと息を吐いた。
「俺もケータイがない。皆もない感じか?ないなら手を上げてくれ」
問い掛けに全員が手を上げる。
「…時間が分かる物は、処分されたってことか」
三津谷が困ったように頭を抱えた。丸熊はつまらなさそうに、あくびをする。
「あの…。ずっと気になっていることがあるんですけど」
おずおずと手を上げて、塩田が喋り出した。皆は塩田に視線を集める。
「首に付いている……首輪みたいなのは何でしょうか?」
─そう。
最初目が覚めた時には気付かなかった。しかし宇吹さんが目を覚ました時に、首に輪っかが装着されていることに気付いた。
気にはなっていたのだが、彼女の可愛さに見とれていて、輪っかの存在が薄れていた。
そうこうしていると皆が起き出し、全員の首に輪っかが付いているのを見て、自分の首にも付いているんだなと思った。
白い、首輪。
それが全員の首に付けられている。
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