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よくは見ていないが、遠目で見る限り、ただの真っ白な輪っかだ。
「え?首輪とか付いてんの!?」
秋山は驚いた表情をして、自分の首を確認する。
…気付いてなかったのかよ。
「時限…爆弾とかじゃないよね?」
迎井がぽつりと言う。その言葉に、一気に背筋に寒いものが走った。
「いや…時限爆弾ではないと思う。音が、しない」
三津谷がそれを否定する。
澄まして聴いてみたが、カチカチと、時間を刻む音はしなかった。
「でも…まだ作動していないだけ、かも…」
そう。まだ時限爆弾ではないと言う確証は、何処にもない。
内藤は小沢の首輪に顔を近付けて、まじまじと見ていた。
「ただの輪っかか、首輪みたいですね」
その言葉に少し安堵する。何故付いているのかと言う疑問は残るが、何もないことに越したことはない。
「じゃあ外せばいいんじゃないのかい?」
「でも何かは分からないから、無理に外さない方がいいでしょ?」
首輪についての論議が始まる。
「…早く帰りたいな」
そんな中、宇吹さんが言葉を零した。
「何か用事でもあったの?」
「特に用事はないんだけど、犬を飼っていて…。その犬の世話は私しかしないから」
「そっか、それは気になるよね」
「…うん」
宇吹さんは寂しそうに頷いた。儚げながらも綺麗なその表情に、俺はまた見とれてしまった。
「待って下さい!!!」
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