漆黒の封筒

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場の空気を切り裂く内藤の大声。 論議をしていた奴らはビックリして、揃って言葉を失った。 「…この首輪の後ろに鍵穴があります!」 小沢の髪の毛を上げて、首の後ろを見ている内藤が叫ぶ。 「か、確認してもいい、ですか?」 チラリと宇吹さんを見て言う。緊張からか敬語になってしまった。 「はい」 宇吹さんはそう答え、後ろを向く。長い髪を手で持ち上げてくれた。 ─ゴクリ。 …女の子のうなじを見るみたいだ。 閉じ込められていると言うのに、さほどの緊張感もなかった。 確かに目が覚めた時は知らない場所にいて、閉じ込められていると言う状況に、恐怖していた。 しかし『何か』が起こる訳もなく、その恐怖も薄れ始めていた。 でもそれは、ここにいる全員がそうだったと思う。 ──これから起こる現実。 『本当の』恐怖を思い知らされることになる。
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