漆黒の封筒

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「バイバーイ」 「またな~」 学校の授業が終わると、自然と聞こえてくるお決まりの会話。 「成哉(せいや)、帰ろーぜー」 俺の元にやって来たのは、守(まもる)。 毎日お決まりのお迎えだ。 「今日ゲーセン行くだろ?」 「あぁ、だって俊明(としあき)の奴がうるせーんだもん」 机の横に引っ掛けていた、鞄を肩に乗せる。 「成哉ー!守ー!行くぞー!」 俺達とはクラスの違う俊明が、扉から顔だけ出して大声で呼びに来た。 これも俺達を迎えに来た、俊明のお決まりだった。 「行こうぜ」 俺は苦笑いして、守と一緒に俊明の元に行く。 「今日は何しにゲーセンに行くんだ?」 廊下を歩き出して、守が俊明に訊く。 「ふふふ。今日は俺の愛する、カレンちゃんのフィギュアの入荷日なのだ」 俊明が不気味な笑顔をしながら答えた。 見た目は良くて密かに女子から人気のある俊明なのだが、蓋を開ければビックリする程のオタクヤローだ。 俊明曰く、二次元の女子にしか興味はないらしい。 もちろん俺には、カレンちゃんとやらの良さは分からない。
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