代償

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「三津谷さんのせいじゃないよ。むしろ、勇気を助けようとしてくれた。それに勇気の変わった姿を見せまいと、顔を隠してくれたでしょ?だから三津谷さんは悪くない」 「──悪いのは、みーんな。あいつなんだから」 にこり。口元だけで笑う。 そんな小沢を見て、ゾクッと恐怖を覚えた。 「でもその悪い悪い奴は殺したから。私が、熊退治をしてあげたから!!」 キャハハハと、甲高い声で笑い出す。 もう誰がどう見ても、気が触れているのは明確だった。 「さぁ、行こう!次の部屋に。せっかく扉が開いたんだからさ」 嬉々と顔を歪ませ、スキップをしながら台に近付いていく。 「今まで全く役に立たなかったあいつ。だけど目玉でようやく、活躍出来たね~」 ニコニコと不気味な笑顔を貼り付けながら、穴に収まる眼球に触れる。 ひとしきり弄んだ後、小沢はひとり、次の部屋の中へと入って行った。 小沢は変わってしまった。狂ってしまった──。 内藤の死と。丸熊の死を代償に。
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