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しばらくふたりで広い部屋を捜したが、何も見付からず、何かが出てくることもなかった。
すぐにこの部屋から出て、次にキッチンの部屋を捜すことに。
しかしキッチンの部屋の壁や床にも、何もなかった。
だがこの部屋には数個の物があった。
ふたり力を合わせ、流し台と棚を動かす。その下にもしかしたら……とも思ったが、俺達を嘲笑うように何もなかった。
1階の残す部屋は、ひとつだけ。
最初、目を覚ました時にいた部屋である。
後はそこだけだが、もしこの部屋に何もなかった場合。捜さなければならない部屋は、10もあることになる。
捜すと言う作業は、思いの外体力を使った。
いつ、何処に何があるのか分からないので、気力も必要となる。
そのせいでふた部屋を回っただけなのに、もう疲労困憊気味だった。
しかしそれも仕方のない話だ……。
ここに来てからは、毎日神経を削られるような緊張に虐げられ、泣き叫ぶことで体力も消耗しつつあった。
それに加え、もうここ何日も食べ物を口にしていない。
空腹を伝える神経は壊れたように、感じなくなった。
でもやはり、力が出ない感覚だけはあった。
──この1階の3部屋の内に、見付かることを切に願っていた。
2階からの部屋となると、ゲームを行ってきた場所なだけに、まだ危険も残っているだろう。
せっかくクリアしたと言うのに、そこで罠に掛かってしまえば元も子もない。
だから最後の部屋に向かう俺は、縋る思いでいっぱいだった。
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