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「じゃあ今度、私はこっちを捜すから。一ツ橋さんはそっち側お願いね」
悲しかった表情はパッと明るくなり、こっちを見て言った。
「……え?いいのか?」
宇吹さんが言ったのは、自分は死体側を捜すと言うこと。
臭いがキツイ俺にとっては、何とも有り難い話ではあるが…。
何だか申し訳なくなる。
「いいよ。さっき、一ツ橋さんも私のこと庇ってくれたでしょ?」
にこりと笑う彼女を見てドキッとしてしまったが、慌てて頭を下げる。
「じゃあ悪いけど、お願いするよ」
「うん」
宇吹さんの言葉に甘えることにして、鼻を摘みながら壁に向かって歩き出す。
鼻から指を離した途端、余裕で倒れれるな…。
そんなことを思いながら、宇吹さんに感謝し、壁に何かないか捜し始めた。
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