永訣

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乾いたことにより、薄い赤い線が浮かび上がっていた。 線は四角い形を描いている。 大量に流れていったであろう、血の勢いはそこで弱まり、不自然に "減った" 量が、その先に流れていたのである。 ……隠し、扉…? そう思うと、宇吹の心臓が大きな音を鳴らした。 描かれている四角い線の中は、人ひとりが入れる大きさをしている。 それはますますに、隠し扉を濃厚な物にさせた。 目の前のそれに釘付けになり、鼻を覆う手が離れた。 そっと近付き、手で触れてみる。 手に伝わる感触は、今までの床と何ら変わりはない。 しかしある部分に、ひんやりと金属の冷たさがした。 冷たさを感じた場所に、目を凝らす。 するとそこには、床の色と同じに塗られた "取っ手" が見えた。 パッと見ただけでは、決して分からない。 それは床下収納と同じ、指を入れれば引っ張る部分が出てくるタイプの物である。 宇吹は息をすることを忘れていた。 息を殺しながら、そっとその金属に指を入れた。
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