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「か、隠し扉があったのか!?」
「うん」
そう言って宇吹さんは、目の前の床から扉の存在を見せた。
「おお!?おおおお!」
突如現れた扉にテンションが上がってしまい、彼女の両肩を掴んだ。
「すげーじゃん!」
喜びと興奮から、華奢な体を揺らす。
「う、うん」
宇吹さんはガクガク揺れながら、俺の歓喜を受け止めた。
ここでようやく我に返り、慌てて手を離す。
「ご!ごめん!」
うわっ!何やってんだ、俺!?
感極まって我を忘れてしまった自分が、恥ずかしくて憎い……。
バツが悪くて宇吹さんの方を見れずにいると、くすくすと笑い声が聞こえてきた。
ちらりと目を向ければ、口に手を当てて笑っている。
「ごめん。すごく嬉しそうにするから、何だかおもしろくって」
そう言いながら、笑い続ける。
顔が熱くなってきて、ますます顔を俯かせてしまった。
……恥ずかしい。
穴があったら入りたい。とは、まさにこのことだ。
「でも……」
その言葉に、ちらっと目線を上げる。
「あったね。脱出に繋がる扉」
にこりと微笑む宇吹さん。
「うん」
俺も嬉しくなり、満面の微笑みを返した。
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