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9個目の『10』のナンバーの鍵を挿し終わる。
これで残るはひとつ『8』だけだ。
ふっと視線を左手に向ける。手の平の上には、もう鍵がない。
──あれ?
出し忘れたのだろうか?と、胸ポケットの中に手を入れる。
しかし鍵はない。
おかしいなと思いながら、ズボンのポケットの中に手を入れるが、出てきたのは3つの偽物の鍵だった。
一応確認してみるが、ナンバーは『三』『七』『九』
捜している『8』がない。
慌てて全身を叩きながら探る。だが金属音が鳴るどころか、鍵の感触すらない。
もう一度ふたつのポケットの中に手を突っ込むが、何もない。
……嘘、だろ……?
全身の血の気がすぅーっと引いていき、冷や汗が流れる。
何処にやった…?もしかして落とした…?
いや、もし落としたとしたら音で気付く。それに転んだ覚えも、体が回転した覚えもない。
──じゃあ……。何処にやったんだ……?
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