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秋山のナンバーの鍵は、熱い部屋にあった。
とてつもなく熱く、汗が止まらない程の。
その部屋は何処だった──?
そうだ……一番最初の部屋だ!
蒸気がそこかしこから出ていて、省吾が取りに行った──!
『8』が最初の部屋にあったことを思い出した。
するとそこから絡み合っていた糸がするすると解けていき、全てが鮮明に蘇っていく。
省吾から鍵を丸熊が奪い取って、自分のナンバーの鍵じゃなかったから……。
苛立って…………鍵を────床に叩き付けていた!
ハッとその時の光景を思い出し、俯いていた顔をガバッと勢いよく上げた。
急いで宇吹さんに近付き、話し掛ける。
「宇吹さん、ごめん!ちょっとここから離れるよ。でもすぐ戻って来るから!」
そう言うと宇吹さんは黙ったまま、首だけで頷いて答えた。
宇吹さんの容態はとても心配だ。でもそれよりも『8』の鍵を早く取りに行かないと……!
そう思った俺は早馬の如く、駆け出していた。
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