永訣

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扉の前に皆がいて、省吾が鍵を取って戻ってきた。 俺と省吾の間に、丸熊が割り込んできて──。 目を開けた俺は、丸熊が立っていた位置に移動する。 …ここで鍵を叩き付けたんだ。 その周辺をざっと見渡すが、鍵の姿はない。 宇吹さんの容態は常に心配だったが、この部屋に入った時から不思議と冷静だった。 そのおかげで鮮明に記憶が蘇り、物事をちゃんと把握することが出来た。 床の上に鍵が落ちていないとすると……。 ちらりと、傍にあった金庫に目をやる。 その金庫の下には、床と僅かばかりの隙間があった。 前にしゃがみ込み、隙間を覗いて見る。 ────あった。 奥で眠っているように、鍵は金庫の下に転がっていた。 鍵の姿を見付け、心の奥底から安堵する。 しかしここで、ひとつの問題が出てきた。 それは金庫の下の隙間が、狭過ぎると言うこと──。
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