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妹の花恋は本当に可愛くない。俺との会話はこんな感じで、いつも嫌そうな顔をする。
小さい時は「お兄ちゃん、好きっ」とか言ってたくせに。
─ぞわっ。
今なら考えられないことに、背筋が寒くなった。
俺も花恋には何も答えず、お茶だけ飲んでさっさと部屋に向かう。
「あ、成哉」
部屋に行こうとする俺を、母親が呼び止めた。
「何?」
「何かあんた宛に手紙がきてるわよ」
「俺に?」
訝しい顔をしながら、リビングに戻る。
「テレビの前の机の上」
そう言われたので、そこに向かう。机の上には真っ黒な封筒があった。
異様なまでの黒さに更に顔を顰める。
大体俺宛ての手紙なんか、そうそうこない。
それなのにこの真っ黒な封筒…。
おかしいと思わない方がおかしかった。
封筒を手にする。近くで見れば見る程、怪しい雰囲気が漂ってくる。
裏を見ると俺の名前が書かれていた。
パソコンで打たれた、感情のない文字。
顔を顰めたまま、封筒を破り中を見る。
中には1枚の紙が入っていた。
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