永訣

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開けた瞬間、目に飛び込んできたもの。 緑、青、白──。 そして、感じたことは暖かさだった。 ここは何処かの空き地のようだ。 目の前には無造作に生えた草の緑、所々生えていない茶色い砂が見える。 その敷地はとても広く、左右どちらに顔を向けても、果てが見えない。 また周辺に、建物なども見当たらない。 見渡す限り広原で、一瞬ここが外だとは思えなかった。 しかし天を仰げば、そこには澄み切った青─。大空が広がっていた。 白い雲が浮かんでいて、それは紛れもなく外の景色であった。 空には太陽も出ており、その光が、その熱が、俺に降り注ぐ。 一週間ぶりに肌に受ける温もりは、久し振りだ……。 ────やっと。やっと、出られたんだな────。 外に出られたことを理解する。 雁字搦(がんじがら)めに至大(しだい)となった恐怖、絶望の鎖が、外れていくのが分かった。 安堵に細めた目から、一筋涙が流れる。 ────皆……。出れた、よ…………。 全身から力が抜け、ドサリと大きな音を出し、その場に崩れ落ちる。 そのまま眠るよう、気を失った。
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