第1章

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 そこまで小さいものから通ろうとは、瞬も挑戦したことがなかった。基本、体が通る大きさが望ましい。  武蔵が、船の窓を開けてみせた。空気がとても熱かった。周囲はジャングルのような密林に囲まれていた。  船を漕いでいる、数人の人影が見えていた。他に、洗濯をしている女性と、姿は見えないが喋っている女性が数人居る。 「瞬が、この船から出たら、この船、爆破することになっている」  ここに居る人間は、瞬とは無関係だった。瞬が、見捨てて逃げる可能性もある。 「十五人だよ、この船で生活している人数はね。それと、非常勤が時々居る」  敵でも、無害な人材を殺せないのが、瞬の甘さだった。武蔵は、瞬の性格を把握しているようだった。 「それと、外部と連絡の度、ここに居る誰かが処分される。つまり、携帯電話も禁止。インターネットもするな」  瞬が携帯電話を見ると、圏外になっていた。こんなジャングルで使える携帯電話は、かなり限られている。 「食事は自由、船の食材を勝手に食べていてくれ。風呂とトイレは、この部屋にある。それじゃあ、又会おうな」  武蔵が、仕事があると、どこかに消えていた。 第三章 炎座  瞬が船の中を見てまわると、炎座の人間は意外にも、あれこれ言っては付いてきて、説明までしてくれた。  瞬が拉致されてきた人間と聞いても、その態度は変わらない。  瞬は部屋に戻ったが、この部屋、何も無かった。風呂とトイレは確かにあったが、他には何も無かった。  とりあえず暇なので、勉強をしようかと、瞬はリュックを取り出した。薄暗いので、電気スタンドを出したが、コンセントが無かった。簡易的な発電機を出し、ついでに寝袋も出した。  着替え一式も出すと、ふと着替えにメモが挟んであった。 『無事ならば、上着を戻せ』  これも外部との連絡になるのだろうか?瞬は、上着をリュックに入れた。こんな芸当ができるのは、虎丸しかいない。【預かり屋】の店長、闇や黒を通して、物を出し入れする。瞬のリュックの中は、虎丸の指定で黒になっていた。 「外部と連絡すると、ここの誰かが殺され。俺が逃げると、この船が爆発」  声も送れるのかは分からない。 「人が増えるなは、ありませんでしたね」  部屋に、手越が入ってきていた。 「手越さん?」  手越は、船に仕掛けられていた爆弾を、瞬のリュックに押しこんだ。 「上司命令でね。又、潜入してきました」
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