第1章

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 幼児と遊ぶなど、瞬のプライドが許さない。子供の、面倒をみるとか、世話をするならばいい、何故、一緒に遊べなのだろうかと、瞬は子供から遠ざかる。 「瞬君、僕たちのこと、嫌いなんだね」  どう解釈されてもいいと、瞬は更に子供から離れた。 「千尋(ちひろ)、千歳(ちとせ)、千都(せんと)ですよ、覚えてくださいね。私は三人の乳母です」  乳母と名乗った、子守りらしき女性が、嫌がる瞬を無視して、握手させようとしていた。  瞬が仕方なく握手の手を伸ばした時、手は強い力で引っ張られていた。瞬が、転ぶ瞬間、千尋が両手で瞬を持ち上げて、どこかに突進していた。瞬は、千尋の手を避ける間も無かった。 「千歳、壁にぶつかる!」  瞬が、両手で頭を抱えて衝撃に備えた時、動きがピタリと止まった。 「…泣いているの?瞬君」  驚いて、瞬の目から涙が落ちていた。 「楽しくなかった?ごめんね」  千歳が、瞬の涙をペロリと舐めた。そのまま頬を舐め、舌が唇に降りてくる。千歳が、瞬の唇を舐めていた。 「開いて、中も舐めたい」  瞬が顔を背ける。子供なのか、見た目と同様の年齢なのか、分からなくなる。千歳の手が、瞬の顔を掴み、強引に振り向かせようとしていた。 「痛いのは嫌い」  瞬は、仕方なく諭してみた。瞬は、千尋を見つめながら、中身は、子供と自分に言い聞かせている。 「嫌い?」 「そう、痛い事する人は、キライ」  千尋は、元気をなくして、しょんぼりしているが、それでも、瞬の胴体をがっしり掴んで離さない。 「あら、ずいぶん気に入られましたね。千尋は気難しくて、懐かないのにね」  乳母は、楽しそうに笑っている。瞬は、力づくで、千尋の膝に座らされていた。 「会屋、虎丸店長、助けてください」  会屋も、千歳に懐かれて、既にケンカになっていた。千都は、大人しく本を読んでいる。 「精神面以外では、大人ですからね、この子たち。頭脳は天才ですし、とにかく、いう事は全くききませんから」  乳母、結構、この仕事がきついらしい。 「いうことを聞かせる、技は何ですか?」  乳母がニッカリ笑った。 「一つは、ごはん抜きにしますよ、ですよ。それともう一つ、千都に頼む、です」  千都が、一番強いらしい。千都には、千尋も千歳も逆らわない。  瞬は、北原と話もしたいが、気を抜くと千尋に骨を折られてしまいそうだった。 「北原さん」
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