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武蔵は多分『神の御使い』の出身だろう。ならば、ランク外というのは、戦闘能力ではなく、集団に馴染めない何かがあったということになる。
武蔵は、戦いたくないと言った。戦えないとは言っていない。
「親父は腐った性格だけど、俺達への護衛は最高ランクだ。多分、ここが『死から来た者』の中では一番安全」
ランク外で、組織から世界から蔑まれた経験が瞬にはある、だから、武蔵の気持ちは理解できる。
武蔵は、瞬に執着しているのではなく、瞬に分かったうえで、自分から組織を抜けて来いと言っているのだ。
世界を一緒に変えようと、差し伸べられた手は眩しい。瞬が、迷っていることを、都築は気付いているのかもしれない。
ランク上位の千都には、多分、武蔵は理解できない。
相談相手が、せめて海晴だったら良かった。瞬は、千都を見てから溜息を付いた。
「会屋と俺、どこで寝たらいいの?」
この家には家政婦が居たようだった。家政婦に聞いてみるかと、瞬は部屋を出た。
かなり広い敷地の中で、玄関などホールに近い。その玄関近くのベッドルームは、どうやら都築が帰って来たら、仮に使用する寝室のようで、本当の寝室は別にあった。
執事に、使用しても良いと通された部屋は、どう見ても、現在も使用している部屋だった。ゲストルームではない。
「あの、これは、どなたの部屋ですか?」
執事は丁寧に頭を下げた。
「千尋様、千歳様、千都様のお部屋にございます。会屋様もご一緒するようにと、都築からの指示でございます」
確かに広い、中で簡単に区切られているようだが、三人の部屋なのかもしれない。どう表現したら良いのか分からないが、百畳はある部屋だった。
でも、問題は部屋の広さではない。
「寝袋で眠るのでしょうか?」
ベッドが三つしかない。
「俺が説明するから、湯田下がれ」
千都が、後ろに立っていた。千都の後ろに、会屋を抱えて、千歳が立っていた。
会屋は、ぐったりしていて動かない。
「会屋、殺してないよね?」
「会屋、遊び疲れた、だけ」
千歳が、泣きそうな顔になっていた。生きているなら、問題ない。
「かしこまりました、千都様」
執事が、丁寧に礼をすると、どこかに去って行った。
「会屋は、千歳と一緒に寝る」
千歳が、うれしそうに頷いていた。
「瞬は…」
千尋が、瞬の腕を掴んでいた。
「俺は調べものしてくるから、それまで、千尋、瞬を頼むな」
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